使用上のご注意

ESTERIのオートクレーブをより安全に、より効果的にご使用頂くための
ポイントをまとめました。

滅菌バッグの使用方法について

一般的に滅菌バッグと呼ばれる物は2種類あります。器具などの滅菌を行う場合に使用する包装材(器具用滅菌バッグ)と、廃棄物を滅菌する場合に使用する袋(廃棄物用滅菌バッグ)があります。滅菌物を処理する際にはそれぞれ下記の点にご注意ください。

器具用滅菌バッグ

器材(ハサミ、杓子、ピンセット、フィルター、チューブなど)を滅菌するときに包装材を使うのは、滅菌した後に細菌やウイルスが付いてしまうのを防ぐためです。通常パッキングされた個包装形態で、包装材は器材を清潔な状態に保ち、使用する直前まで汚染から守る役割があります。
滅菌バッグを使用する場合、蒸気の浸透を十分に行う必要がありプレバキュームによる空気抜きが必須となります。

推奨機種:EFVシリーズ

インジケータ―(滅菌指標)を使用する

滅菌バッグはケミカルインジケーター(CI)と一緒に包装し、確実に熱と蒸気が内部まで到達したかを毎回チェックします。

乾燥の徹底

滅菌後の水分残留は微生物のコンタミネーション(再汚染)を助長する可能性があります。滅菌後の器材は速やかに乾燥させる必要があります。

使用期限

滅菌バッグには滅菌した器材を安全に使用できる期限があり、包装材料や包装形態に応じて期限を設定し、管理する必要があります。

廃棄物用滅菌バッグ

滅菌バッグ(廃棄用滅菌バッグ)の多くは半透明のビニール袋のような見た目をしていますが、オートクレーブの高温高圧に耐えられる耐熱樹脂で出来ています。廃棄物を滅菌するときに、これらの滅菌バッグを使うのは、廃棄物をまとめて安全に取り扱い、滅菌後に周囲へ飛散したり作業者が触れたりすることを防ぐためです。プラスチックなどの熱に弱いもの(熱による変形を起こして形を保てないもの)を処理する際は、必ずこの廃棄物用滅菌バッグをご使用ください。

推奨機種:全シリーズ

必ず金網カゴの中に入れて使用する

滅菌バッグを使用するときは、必ずオートクレーブ付属品か、ESTERI純正アクセサリーの金網カゴに収納してください。
金網カゴを使わず直接滅菌バッグをオートクレーブに入れると、チャンバー内配管を塞ぎ、事故に繋がりますので厳禁です。

滅菌バッグの折り返しは金網カゴ外に出さない

滅菌バッグをカゴへ設置する際は、バッグのはみ出し部分を金網カゴ内に収めてください。
金網カゴの外に折り返すと、折り返したバッグの端が、意図せずチャンバー内配管を塞いでしまう危険性があります。

滅菌バッグ内に200ml程度水を入れる

滅菌バッグ内でも蒸気を発生させることで、蒸気浸透性を高め、滅菌効果を最大化します。

滅菌バッグは閉じない

滅菌バッグの開口部は閉じず、開放状態にしてください。開口部を閉じると、中の空気が抜けず(蒸気が浸透せず)滅菌効果が大幅に下がります。

液漏れ対策

万が一のバッグ破損時の液漏れ対策として、カゴ底収納皿を設置することで缶体内清掃の手間を大幅に低減できます。

可能な限りフタを外す

遠沈管・シャーレなど密閉構造の容器を投入する場合は、フタを外して入れることで蒸気浸透性が向上して滅菌効果が高くなります。

滅菌バッグは重ねて使用しない

蒸気浸透不良を防ぐため、滅菌バッグを設置したカゴは重ねないでください。
十分な滅菌効果を得るため、蒸気がバッグ内部や内容物全体に行き渡るよう配慮してください。

滅菌容器の使用について

オートクレーブ滅菌では、内容物をまとめて入れやすくし、取り扱いや回収をしやすくする目的や、培地の噴きこぼれ、培養済みシャーレからの液体こぼれによる缶体内への汚れを防止する目的でステンレス容器を使用します。細かな器材・土壌・廃棄物なども、安全かつ効率的に処理できます。滅菌物を処理する際には下記の点にご注意ください。

推奨機種:全シリーズ(一部 型式を除く)

容器サイズを考慮する

滅菌容器の上部にスペースがないと空気が抜けづらくなり、空気が上手く抜けないと滅菌が正しく行われません。
卓上型のオートクレーブは缶体のフタで容器を塞いでしまうため空気が抜けず滅菌不良となります。
型式毎の適合は、以下の表からご確認ください。

参考:空気抜きの必要性と種類(クリックするとページが開きます)

機種VN2121
(Φ210×210mm)
VN2727
(Φ270×270mm)
VN3630
(Φ360×300mm)
ESS-62×
ESS-96
ESS-117
ESS-62D×
ESS-96D
ESS-117D
EFN-62×
EFN-96
EFN-117
EFV-62×
EFV-96
EFV-117
ETV-50×
ETV-96
ETV-118
EAS-12×××
ENS-12×××
ENS-22××
ENS-37×
ENS-50×
重ね置きやフタをしない

容器を使用する際は、1個のみでのご使用としてください。
容器の上に空気が抜けるスペースが無いと、空気が閉じ込められてしまいます。空気が上手く抜けないと滅菌が正しく行われません。

土壌などは事前に軽く湿らせておく

乾燥した土壌やバーミキュライトには、熱に強い細菌(芽胞)が含まれるため、乾いたままでは滅菌しにくくなります。
可能であれば、湿らせた後に数時間~一晩置いてからオートクレーブを行うと、より効果的です。
また、一度に多くの量を処理せず、少量を数回に分けての処理や、品温センサーによる温度管理を推奨します。

器具類の滅菌について

器具などの滅菌を行う場合は、処理するものによって内容が異なります。下記に代表的なものをご紹介します。

ハサミ、杓子、ピンセット、フィルター、チューブなどの器材滅菌

ハサミ、杓子、ピンセット、フィルター、チューブの滅菌は滅菌バッグへの個包装を推奨しています。
滅菌方法のポイントは『器具用滅菌バッグ』の項目をご参照ください。

参考:空気抜きの必要性と種類(クリックするとページが開きます)

ビーカー、フラスコ、メスシリンダーなどの容器類滅菌

検体や培地などを保管する容器などは、空気が抜けづらいため、設置に気を付ける必要があります。

推奨機器:全シリーズ

空容器の場合は下に向ける

蒸気は空気より軽いため、上に向かって溜まります。
口を上向きにすると、中に冷たい空気が閉じ込められて蒸気が浸透せず、滅菌不良の原因になります。

正しい入れ方
間違った入れ方
冷却工程の考慮・選択

容器の素材により、滅菌完了後の冷却工程について、設定を変える必要があります。

  • ガラス製:滅菌完了後、排気弁は開けないでください。急な温度変化でガラスが割れる恐れがあります。
  • ステンレス製:滅菌完了後、すぐに排気弁を開けて蒸気を抜いて構いません。1回の作業時間を短縮できます。
ピペット、トレーなどの樹脂製品滅菌

理化学業界で使用される一般的な樹脂材料は以下の通りです。
オートクレーブ滅菌を行う前に、製品仕様書や表示を確認し、オートクレーブ対応品であることを確認してください。

推奨機種:全シリーズ

材料名称耐熱温度(℃)特徴
PP
ポリプロピレン
100~115汎用プラスチックの中では熱に強く、100℃の沸騰水にも耐えられますが、
劣化を防ぐため120℃超の連続使用は避けます。ボトル等の材料に使用されます。
PTFE
フッ素樹脂
260プラスチック全体の中でもトップクラスの耐熱性。パッキンやシール材に使用されます。
PC
ポリカーボネート
110~120非晶性としては高く、透明性を維持したまま100℃以上の環境で使用可能です。
ケースやラック、ボトルなどの材料に使用されます。
PE
ポリエチレン
70 〜 90
(HDPE)
50 〜 70
(LDPE)
低密度(LDPE)は熱に弱く、低い温度でもドロドロに変形します。高密度(HDPE)でも100℃未満が限界です。ボトルやスポイトなどの材料に使用されます。
PS
ポリスチレン
60~80熱にはかなり弱く、熱湯には耐えますが、油物の加熱などで簡単に溶融・変形します。遠沈管や培養フラスコなどの材料に使用されます。
PET
ポリエチレンテレフタレート
60 〜 70
(未強化)
150 〜 200
(GF強化)
未強化のペットボトルは100℃以下で変形するが、ガラス繊維(GF)で補強された工業用グレード(スイッチ部品など)は一気に耐熱性が上がります。PETチューブや試薬瓶の材料に使用されます。
PVC
ポリ塩化ビニル
55 〜 65
(硬質)
熱が加わると比較的低い温度から軟化し始めます。また、高温が続くと塩化水素ガスを発生して劣化(変色・脆化)します。チューブや水回りの製品の材料に使用されます。

液体の滅菌について

オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で液体(培地、水、試薬など)を滅菌する場合は、取扱を誤ると液体の噴き出し(突沸)による火傷や、容器の破裂などの重大な事故につながる恐れがあります。安全にご使用いただくため、以下の点にご注意ください。

突沸(とっぷつ)の防止

突沸とは沸点(100℃)以上の高温にある液体が、振動などの小さなきっかけによって急激に沸騰し、激しく周囲に吹き出す現象です。突沸を防ぐためには以下の点に注意してください。

・滅菌完了後の冷却工程については排気弁は開けないで、自然冷却とする。
・フタを開けるときは80℃以下になっていることを確認する。
・安全装置「フタインターロックシステム」を搭載した機種を選定する。

搭載機種:EAS-12ESSESS-DEFNEFVシリーズ

密封された状態で滅菌しない

容器などは密閉してしまうと容器内の圧力が上昇し圧力に耐えられず破裂することがあります。
ヒビやキズのあるガラス器具を滅菌しないようにしてください。
また、容器を密閉すると空気が抜けにくくなるため、滅菌不良の原因にもなります。
安全にご使用いただくため、以下の点にご注意ください。

  • メディウム瓶などのネジ口瓶は全閉したところから1回転以上緩める
  • フラスコの場合、ゴム栓は使用せず通気性のある綿栓やスポンジ栓を採用する
  • 輸液バッグなど密閉されたものの滅菌は、冷却工程に加圧機能が搭載されているレトルト殺菌器を選定する

処理量について

オートクレーブの処理においては、チャンバー内で発生した蒸気を滅菌物に行き渡せることが重要です。
処理量を多くしてしまうと蒸気の浸透が妨げられ、滅菌不良を起こすことがあるため、以下の点にご注意ください。

  • 処理量はチャンバー容積の60%程度にする。
  • 滅菌物は極力重ね合わないようにする。

滅菌時間について

滅菌に重要なのは、対象物に対して温度を加えることだけではありません。
『適切な温度』を『適切な時間』加え続けることで、初めて十分な滅菌効果を得ることができます。

滅菌タイムラグ(遅れ時間)を考慮する

滅菌を確実に行うためには、「滅菌タイムラグ(遅れ時間)」を理解することが大切です。オートクレーブの表示温度は缶体内の温度であり、実際の滅菌物の温度は遅れて到達します。さらに、この遅れ時間は、入れる量や並べ方、液体の状態によって変わります。
そのため、表示温度だけで判断するのではなく、滅菌物そのものの温度を確認することが重要です。

滅菌タイムラグの影響(上グラフ)と、品温センサーを使用した場合の運転(下グラフ)

オプションの品温センサーを追加することで、対象物が設定温度に達したタイミングを正確に把握できます。またその時点から滅菌タイマーがスタートする機能を使用できます。
これにより、ムラや不足のない、確実な滅菌処理が可能になります。

オプション追加が可能な機種:ESSESS-DEFNENVシリーズ